2021年7月3日(土曜日)13時30分から日本語?日本文学会の総会と研究発表会とがオンラインで開かれました。
総会
2020年度の事業報告、決算報告、2021年度の事業計画、予算案が報告され承認されました。
研究発表会
本学科所属の山吉裕子(やまよし ひろこ)講師による発表でした。
研究発表題目 エルサレム神殿の崩壊と再建―『エチオピア語エノク書』を中心に―……山吉裕子(本学専任講師)
発表内容
揺籃期のキリスト教がどのようにユダヤ教の伝統を受け継ぎ、利用し、あるいは批判したかということを明らかにする試みの一つとして、本発表では紀元前2-前1世紀頃に書かれたと言われる『エチオピア語エノク書』85-90章、いわゆる「動物の黙示」に現れる、エルサレム神殿崩壊と再建に関わる記述を紹介した。「動物の黙示」は、例えばアブラハムは「白牛」、イスラエルの民は「羊」のように、様々な動物に仮託する形でアダムから天の国の始まりまでの救済史を三つの時期に分けて描いている。著者によれば、歴史が進むに従って神とイスラエルの関係は悪くなる一方であり、裁きと救いの時である終末において、羊たちの主、すなわち神は家たるエルサレム神殿を取り壊してしまう(『エチオピア語エノク書』20章28節)。しかし神は同じ場所に先のものより大きく高い家を建てるのだという(同29節)。これが「動物の黙示」の描くエルサレム神殿の未来像であった。