多様性を受容できるようになりたいと思ったからです。高校生の時、「自分の在り方」に疑問を持ち、悩んだ経験があります。そこから“ありのまま”の自己や他者を認められるようになりたいと考えるようになりました。
多くの大学では、心理学部や経済学部、法学部など、初めから学部ごとに研究分野が定められています。それに対し、藤女子大学の文化総合学科では、幅広い分野の科目を履修した上で、自分が興味を持ったことについて研究することが可能です。それを活かして多様な価値観を学び、幅広い視野と柔軟な心を身に着けたいと考えたため、文化総合学科を選びました。
哲学を中心に学んでいます。きっかけは、哲学に「世界の見方」を変える可能性を感じたからです。自他の存在や認識内容について深く考えていくと、その不確実性にたどり着きます。そのことに気づいた時、それまで何の疑問を持つこともなかった「当たり前の事実」が崩れ去り、その感覚を面白く感じました。
また、様々な考え方を知るだけではなく、なぜそのように考えられたのか、その思考の道筋を辿りたいと感じたこともきっかけのひとつです。哲学演習のゼミでは、講読テキストを皆で少しずつ読み解いていくため、論理的な思考力が身に付けられます。そして、この力は日常生活でも活かすことができます。人の話を聞き、相手を理解しようとする時の、ひとつひとつの言葉を辿ってその意味を考える姿勢が共通していると感じています。
「哲学特講A」の授業がおすすめです。様々な観点から、この世の事象について考察することができます。人間や他の動物、自然といった命ある存在や、美学、宗教、死についてなど、学期ごとに取り扱うテーマは多岐にわたり、それらをすべて履修することで哲学の議論を幅広く追うことができます(もちろん自分の興味のあるテーマだけでも、いろいろな世界観を知ることができ、面白いですが)。
また西洋、日本、どちらの思想にも触れた際には、それらの特色がだいぶ違ったものであることにも気が付くことができると思います。先生が用意してくれるスライドには図表や写真が用いられており、資料の原文も必要な部分だけ抜粋されているため、効率よく学ぶことができます。それらを理解したうえで、自分なりに説明できるよう練習すれば、論理的な思考力がかなり身につけられます。この力は、この先どの分野の研究においても、また、文章を書いたり読んだりする上でも役に立つスキルです。
物事の捉え方が「大人」になったと思います。現実を、否定も肯定もせずに、ただ「そうであること」として受け入れる。それが正しいことかは分かりませんが、私が大学入学時に目指していた「ありのままの自己や他者を認められるようになること」に通ずるところがあるのではないかと考えています。
また、捉え方を見直すこともできるようになりました。今はやりたくないこと、辛いことも、長い目で見れば「やりたいこと」だったり、自己成長の機会だったりする。そのように視点を変えることができる力は、これからの人生においてずっと役に立つと考えています。
文化総合学科ではその名の通り、「文化を総合的に」学ぶことができます。心理学や哲学、異文化コミュニケーションなど、多種多様な科目が用意されており、人間や社会について、様々な観点から理解を深めることができるのです。それは強制的な学びではなく、自発的な学びです。高校まで「やらなくてはいけないものだ」と思っていた勉強が面白くなります。学びたくて学んでいる、そのような学生が多いのが文化総合学科の特徴だと思います。
また、4年間の大学生活全体を通して、段階的に学びを深められるカリキュラムや、教員との距離が近く、迷っても相談しやすい環境が整っていることも魅力です。
豊かな人生を送ること。これが私の目標であり、人生におけるテーマです。当たり前のようですが、目先のことに囚われていても、過去や未来ばかりに目を向けていても、簡単に見失ってしまうものだと思います。
また、先入観に囚われていては、そもそも「豊かな人生」がどのようなものなのかも分からないままです。このテーマをいつも頭の片隅に置き、自分にできることをひとつひとつ積み重ねていきたい。現時点では、「豊かな人生」をそう捉えています。
大学受験、辛いと思います。何のために勉強しているのか分からなくなったり、先が見えなくて不安になったり。でも、大学受験に向けて「努力した」経験は、絶対に今後の人生の糧になります。皆さんがこの辛い時期を無事乗り越えられることを、陰ながらお祈りしています。
(学年、掲載内容等は2023年11月取材当時)